スポーツは基本的に体にも脳にも心にも良いです。
定期的な運動習慣は生活習慣病や認知症やうつを予防することが言われています。
だけど、アメリカでサッカー選手・野球選手・アメフト選手などが引退後に若年性の認知症になって社会問題になっていることを知っていますか?
オバマ元米大統領もその問題に触れ、映画化もされた病気です。
今回は頭部打撲の危険性に関してまとめました。
健康のためだけならば激しい運動や接触の多いスポーツは避けて、軽く息が上がる程度の運動を習慣化するのがよさそうですね。
目次
頭をたまにぶつける程度なら大丈夫
脳は頭蓋骨という固い骨で囲われているので多少頭をぶつけても脳にダメージはありません。
但し、脳震盪を起こすほどの強さで頭をぶつけた場合には2週間程度は再度頭をぶつけないように休む必要があります。
これは、脳震盪を起こした後にまた頭をぶつけると重篤になりやすいことが知られているからです。
なので柔道やラグビーなどで1度脳震盪を起こした選手は休む必要があります。
2014年フィギュアスケートの羽生選手が頭の怪我をおして試合に出場したことも話題になりましたね。
繰り返し頭をぶつけると危険
しかし実は、繰り返し頭をぶつけていたら将来的に認知症のリスクが上がることが指摘されています。
「ボクサー脳症」といって、頭を強く殴られる機会の多いボクシング選手が若いうちに認知症になりやすいことは以前から知られていました。
しかし、2000年代後半頃から元アメフト選手や元野球選手からも同様に若年性の認知症やうつ症状を示す人が次々と見つかってきました。
きっかけとなったのはマイク・ウェブスターというアメフトの元スーパースター選手です。
彼は引退後に浪費を繰り返すようになり、記憶障害・精神症状が出現し、ついにはホームレスにまで転落して2002年50歳で亡くなりました。
ウィル・スミス主演で映画化もされた病気
これは現在では慢性外傷性脳症と呼ばれる疾患で、2005年頃からアメリカなどで社会問題となっています。
2016年ウィル・スミス主演の映画「コンカッション」でも題材にされています。
上記のアメフト選手と慢性外傷性脳症の関係を突き止めた医師の勇気と苦闘を映画化した作品です。
コンタクトスポーツのプロ選手の死後脳を見てみると、なんと30%以上に慢性外傷性脳症の所見が見つかったようです。(D W Dickson et al, 2015)
サッカー、柔道、ラグビーなどのコンタクトスポーツにおいては脳震盪予防が周知されるようになりました。
激しいスポーツは避けるのが無難
これらの社会問題を受けて元米大統領のオバマ氏も「自分に息子がいればフットボールはさせない」とまで言っています。
認知機能は一度落ちると基本的には回復しません。
スポーツや運動をする際には頭への打撲はなるべく避けた方がよさそうです。
もし強くぶつけて脳震盪にまでなってしまった場合にはしっかり安静にしましょう。
まとめ
如何だったでしょうか。
ボクシングやアメフトのような特に接触の激しいスポーツに限らず、サッカーや野球のような幅広いコンタクトスポーツで将来的な認知機能低下のリスクが言われています。
もちろんプロの選手とアマチュアとでは接触の激しさや合計プレイ時間・期間に差があります。
趣味の範疇での運動やスポーツであれば問題はないかもしれませんが、頭を激しくぶつけないように心掛けることは大切そうですね。