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「おもち」から命を守る5つのポイント ~正月になぜ餅を食べるのか~

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気が付けばもうすぐ今年も終わろうとしています。

お正月には鏡餅を飾ってお雑煮やおしるこなど餅を使った料理を食べることが極端に増えます。

本記事では正月に餅を食べる意味について考えて、その後に

「誤嚥・窒息を起こさないための5つのポイント」

「もし窒息してしまった時の対処法」

について紹介しています。要点だけ読みたい場合はリンクで先へお進みください。

餅料理はとても美味しいですが、高齢者の場合は誤嚥・窒息に注意が必要です。

「餅をのどに詰まらせた」なんてよく聞きますよね。

実際、65歳以上の方で餅による窒息での死亡者数を御存じですか?

消費者庁の報告によると毎年約300名が亡くなっているとのことです。(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/consumer_safety_cms204_20201223_01.pdf)

そのうちの約43%が1月に発生しており、特に正月三が日に多いとのことです。

これは亡くなってしまった人の数なので、窒息事故自体はもっとたくさん発生していることになります。

僕も正月の救急外来で「餅をのどに詰まらせました」という人を毎年何人か見ましたし、中には亡くなってしまった人もいました。

「餅はのどに詰まらせやすい」というのは周知の事実なのに、未だになぜ毎年こんなにも事故が起きているのでしょうか?

もし正月にお雑煮やおしるこが無かったらどうでしょう。きっと少し味気なく寂しい気持ちになると思います。

年末年始といえば、実家に集まって家族そろって暖かい部屋で身を寄せ合い、年越しそば・お雑煮・おしるこ・おせち料理を食べ、年越しと共にあるいは正月朝起きてすぐに家族やお世話になった人と少しはにかみながら年初の挨拶を交わし、何でもないテレビ番組を眺めていたらいつの間にか夜になっていてまた寝る。

そんな思い出があるからこそ、毎年恒例のこのやりとりに幸福を感じます。

そして気力をチャージして新年も頑張っていこうとできるのです。

高齢な患者さんがたくさんいる病院でさえも正月には患者さん用の食事におもちを出します。

もちろん誤嚥・窒息事故が起きないように、小さく刻んだり、軟らかめにしたり、トロミ剤を使ったり、嚥下機能が極端に悪い人へは控えたりなどの対策はされています。

単に「事故を起こさない」ということであればお雑煮を出さなければ確実です。

しかし「正月に餅料理を食べる」というのはただの食事ではなく、思い出を振り返り活力を得るための儀式でもあるのです。

だからこそ「正月に餅料理を食べる」習慣を大事にしているのだと思います。

お正月は家族でゆったり過ごす楽しい時間なのに、事故が起きると一気に悲しく辛い思い出になってしまいます。

最後に誤嚥・窒息を起こさないためのポイントと、窒息を起こした時の対処法について紹介いたします。

目次

・誤嚥・窒息を起こさないための5つのポイント

①まず汁物やお茶を飲んで喉を潤しておく

②餅を1円玉サイズくらいの少量ずつ食べる

③よく噛む、よく噛む、よく噛む

④飲み込むときだけは食事に集中しておしゃべりは控える。

⑤飲み込み終わったら再度お茶を飲んで喉をスッキリさせる

中でも「少量を」「よく噛んで」というのは大事です。

・もし窒息してしまった時は

すぐに救急車を呼びましょう。

そして救急隊が来るまでの間に、吐き出させるために介助をします。

まずは、軽くお辞儀させた状態にして手の平で背中を何度も叩きます。(背部叩打法)

それでもダメなら、後ろから抱きかかえるようにしてへその少し上のあたりで両手を組んで上に向かっておなかを突き上げます。(腹部突き上げ法)

お雑煮・おしるこは単に美味しいだけではなく、過去の正月の思い出を振り返るきっかけでもあります。

よい思い出を積み重ねていけば人生の幸福感へとつながります。

ダラダラと、だけどほんわか暖かい、そんなお正月を過ごしたいですね。

それでは良いお年を。

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